手紙の挨拶には「時候の挨拶」という、季節にちなんだ表現を用いた礼儀文があります。四季折々の美しい自然や行事、天候についての心情を述べ、相手の安否を気遣うという、思いやりにあふれた美しい表現のひとつです。しかし時候の挨拶にはさまざまな表現があり、季節や月ごとに細かく分類され、手紙をあまり書く機会がない人にはとても難しく感じられるでしょう。また忙しくて時候の挨拶を調べる時間がないという人もいるかもしれません。今回はそのような人たちのために「季節を問わず使える挨拶文の書き方」をご紹介したいと思います。オールシーズン対応のこの挨拶文を覚えておけば、相手に失礼のないきちんとした挨拶を書けるようになりますよ。ぜひ参考にして下さいね。
目次
頭語(拝啓、謹啓など)に続く書き出しの挨拶。本来であればここで季節感あふれる時候の挨拶を行いますが、ここでは季節を問わない書き出しの挨拶文をご紹介します。
「時下(この頃、今という意味)を使った表現」
■ 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
■ 謹啓 時下ますますご健勝のことと存じます
「ご無沙汰を詫びる表現」
■ 拝啓 すっかりご無沙汰をいたしております
■ 前略 お正月以来ご無沙汰をしてしまい申し訳ございません
「天候について述べる表現」
■ 拝啓 はっきりしない天気が続いております
結びの挨拶も季節の表現を入れるものですが、オールシーズン使える表現も多くありますので覚えておきましょう。
「相手を気遣う表現」
■ 末筆ながら、ますますのご多幸をお祈り申し上げます
■ ○○様のご健康をお祈りしつつ、お礼申し上げます
■ お体を大事になさって下さい
■ 時節柄お風邪などひかれぬようご自愛下さい
「手紙の趣旨の報告の表現」
■ まずはお知らせまで
■ まずはご連絡申し上げます
■ 右ご依頼申し上げます
■ 取り急ぎご報告申し上げます
「乱筆乱文を詫びる表現」
■ 乱筆乱文をどうぞお許しください
■ 急ぎご報告申し上げましたので、乱筆を平にご容赦下さい
■ 乱文になりましたことをお詫び申し上げます
■ 乱筆よろしくご判読の程お願いいたします
以上の表現を踏まえて、季節を問わない挨拶文を使った手紙の例文をご紹介したいと思います。テーマは「お歳暮を頂いた企業へのお礼のビジネスメール」です。
「謹啓 貴社におかれましては時下ますますご繁栄のことお慶び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度は大変結構なお品物をご恵贈頂きまして誠にありがとうございました。社員一同大変喜び、おいしく頂きました。暖かいお心遣いに感謝申し上げます。
来年度も変わらぬお付き合いの程をよろしくお願いいたします。
時節柄お風邪などをひかれぬよう皆さまどうぞご自愛下さい。 敬具」
いかがでしたか?日頃から手紙を書く習慣がない人や、取引先に数多くのビジネスメールを出す必要のある人などには、季節を問わず使える挨拶文はとても役立つ表現ではないでしょうか。もちろん、手紙を書くことに慣れて余裕が出来た時には、美しい時候の挨拶もぜひ使うことをお勧めします。それまではこのオールシーズン使える挨拶表現を身につけて、手紙に親しんで下さいね。