手紙を書いているときに悩むことのひとつとして、「改行の仕方」が挙げられるのではないでしょうか。あれやこれや迷っているうちに、結局一行も書けなかった…なんていう経験がある人もいるでしょう。今回はそのような人のために、手紙を書く際に役立つ文章の「改行の仕方」をご紹介します。改行のポイントを押さえれば、手紙もすっきりと読みやすくなり、手紙を読む相手にも喜ばれることでしょう。ぜひ参考にして下さいね。
目次
改行のポイントに入る前に、「手紙の基本構成」をまず学びましょう。構成ごとに主題が異なりますので、改行をする際のよい目安になります。手紙とは基本的に「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つのパートに分かれています(その他「副文」または「追伸」というパートもありますが、親しい人のみに使われるものですので、ここでは割愛します)。ではパート別に内容を確認していきましょう。
①前文
主文に入る前の書き出し文です。いきなり本題に入るのは失礼ですので、まずここで相手に対する挨拶を行います。初めに頭語(拝啓、謹啓など)を書きますが、親しい相手であれば省略可能です。次に「時候の挨拶」を述べ、相手の安否や近況を伺います。最後に自分の近況や、ご無沙汰のお詫びなどをします。
②主文
いよいよ手紙の本題に入ります。「さて」「このたびは」「先日は」などの書き起こしの言葉から入り、要件をわかりやすくします。次に自分が相手に伝えたいことを、敬語などに注意しながら明確かつ簡潔に述べます。
③末文
結びの挨拶です。手紙の内容をまとめ、時候の言葉と絡めながら相手の健康や活躍を祈りつつ、言葉を結びます。
④後付け
手紙を書いた日付、差出人の名前(署名)、相手の名前(宛名)を書きます。
以上の4つが基本的な手紙の構成になります。これを基に、手紙を書く際の改行のポイントを考えていきましょう。
「改行」とは、意味の区切りで行を変えて、内容を読みやすくするものです。しかしやみくもに改行をしていては、かえってわかりにくい文章になってしまいます。手紙を書く上で大切な改行のルールがありますので、基本構成ごとに確認していきましょう。
まず頭語を書きますが、この場合「字下げ」(段落のはじめに1文字分開けて読みやすくすること)はしません。そのまま書き始めます。次に時候の挨拶ですが、頭語の後に「字下げ」をして書き始める、または改行を行います。しかしその後の相手の近況をたずねる文は改行しません。
例A:拝啓 初春の候、皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
例B:謹啓
さわやかな5月の風が薫る季節がやってまいりました。皆様お元気にお過ごしてしょうか。
前文の最後から改行します。そして「さて」「このたびは」など書き起こしの言葉から始めます。
例:「拝啓 初春の候、皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
このたびは、息子の結婚に際し、あたたかいお心遣いを頂きましてありがとうございます。
主文の最後から改行します。「敬具」などの結語は、行末から一字上げます。(一字分残す)
例:拝啓 初春の候、皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
このたびは、息子の結婚に際し、あたたかいお心遣いを頂きましてありがとうございます。
…… …… …… よろしくお願いいたします。
まずはご報告かたがた御礼まで 敬具」
日付、署名、宛名はそれぞれ改行してから書きます。日付は2~3字あけて書き始めましょう。
十月二十七日
田中 啓介
いかがでしたか?改行の仕方は手紙を書く上で最も迷うポイントのひとつですが「構成ごとに改行する」ということを念頭に入れて行えば、相手に読みやすいすっきりとした文章が書けることがわかりましたね。ぜひこれから手紙を書く際に役立てて下さいね。