夫や上司などに変わって手紙を書かなくてはならない時、内容はなんとか書けたものの、いざ署名をするときに、どう書けばいいか迷ってしまうことはありませんか?代筆した自分の名前を書くべきなのか、その場合は苗字だけか、名前だけか、フルネームなのか…など悩み出したらきりがないほどです。今回は、代筆の際に最も悩むポイントである署名の書き方-「内」と「代」の違いを中心にご紹介したいと思います。
目次
結婚されている方なら、お中元やお歳暮など夫に対する厚意に対して、夫に代わってお礼状を書く機会もあるかと思います。その際にするべき署名について説明します。まず手紙の内容を書き終えたら、手紙の差出人として夫の名前をフルネームで書きましょう。その後に本人に代わり、妻が書いたことを知らせるために「内」という文字を書きます。「内」とはその家の内にいる人間、すなわち妻という意味です。縦書きの手紙なら夫の名前の左脇に、横書きならば後ろに書きましょう。その際、あまり大きな字で書かずに、夫の名前より少し小さめの字で書き添えましょう。
■ 面識のある人、または親しい間柄の人に出す場合
知人や友人など、夫婦ともに面識のある相手であれば「内」の後に妻の名前を書きます。
例:田中啓介 内 幸子
■ 面識のない人、または目上の人に出す場合
夫の上司など、面識のない人、または目上の人に出す場合は「内」の後には何も書かないようにしましょう。妻の名前まで書くと気安い感じを与えて失礼になります。
例:田中啓介 内
■ 共通の場合に役立つポイント
夫の代理で手紙を書くのですから、お礼状であれば夫がどのように喜んでいるかなど、夫の相手に対する心情をきちんと伝えることが大事です。また妻として、家族として自分も喜んでいるという気持ちを伝えるために「夫婦ともども」や「家族みんなで」という表現を使うとさらに良いでしょう。
では部下として、上司の手紙を代筆する場合はどうすればよいのでしょうか。上司は配偶者ではありませんので、家内を意味する「内」は署名として使えません。この場合は代筆を表わす「代」という字を使います。差出人として上司の役職と名前をフルネームで書き、その後に「代」という文字と自分の苗字を書きましょう。
■ 会社における代筆で気をつけるべきこと
先ほど、上司の代筆の署名には「代」を使うと説明しましたが、通常の業務においてわざわざ代筆を表わす「代」を書くことは、相手先に「上司は仕事を部下任せにしている」というような印象を与えかねません。上司が病気などで手紙を書くことができない、または休みで連絡がとれない、などの場合以外はあまり使わない方がよいかもしれません。
いかがでしたか?代筆の署名を書く際の「内」と「代」の違いをおわかり頂けたでしょうか。「内」は家族としての代筆に、「代」は部下など家族以外の者としての代筆に使用されます。あくまでも代理人として書いているという気持ちを忘れずに、内容は本人の心情を十分に伝えながら、署名においては目立たないように、控えめな字で「内」または「代」を書きましょう。そうすれば、奥ゆかしい心遣いがあふれる代理の手紙が書けるようになりますよ。