手紙の書き方における宛名

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手紙の顔になる

きれいで丁寧な字や書き慣れた達筆な字などを目にすると、手紙のそのもののが格調高く感じられるのではないでしょうか。宛名は手紙の顔のようなものと言えます。これが整っていれば、内容にも誠実さが感じられるはずです。宛名には、個人はもちろんのこと、個人で不特定多数の場合やビジネスの場合によって書き方のマナーがあります。マナーに則っていない書き方では、送り手の品性が疑われてしまいます。特にビジネスシーンでは、相手に失礼になるかならないかで、取引の成立などに関わってくることもあります。普段メールばかりで不慣れなもので、では済まされないものです。それでは、この手紙の書き方における宛名について説明していきます。

個人に宛てる宛名

一般的に個人に宛てる場合は、年齢、性別、社会的地位などに関わらず、個人名の後に敬称の「様」を付けます。個人名の敬称には、「様」の他に「殿」がありますが、書き言葉として使用されることが多い敬称です。主に官公庁や企業などの公的文書や、表彰状の受賞者名などに用いられます。しかし近年、「殿」は格下か同格の相手への敬称として使われることが多くなり、公的文書でも「様」を用いることが増えています。
・夫妻や連名の場合
夫の名前を右に書き、左に妻の名前か、「奥様」「御奥様」などと書きます。宛名が夫婦連名の場合、名字は省略できますが、それぞれに必ず「様」を付けます。

・先方の家族全員に宛てる場合
代表者の氏名を書き、その左に「ご家族様」「御家族様」「皆様」などと書きます。それぞれには必ず「様」を付けます。

・特定の個人に宛てる場合「先生」
「先生」は、教師、講師、議員、医師、弁護士、作家、会計士、芸術家、牧師など「先生」と呼ばれる職業に就く人に対する敬称です。「先生」に「様」や「殿」を重ねて付けません。

・複数の個人に宛てる場合「各位」
「各位」は複数の個人を対象とする敬称です。主にビジネス文書や案内状などの通知文書に用いられます。「各位」に「様」や「殿」を重ねて付けません。

組織や団体などに宛てる宛名

会社、学校、病院、役所などの企業や団体などの組織に宛てる敬称では「御中(おんちゅう)」を使います。宛先に部署名、課名を書く場合は、「社名」→「部・課名」→「御中」の順に書きます。
・組織や団体に所属する個人に宛てる場合「様」
会社に勤務する社員など、企業や団体に所属する個人に宛てる敬称は「様」です。「企業・団体名」→「(部・課名」→「肩書き」→「個人名」→「様」の順に書きます。
手紙の文中では、役職名を氏名の後につけることがあります。この場合は、役職名が敬称の意味を持つので、「様」などの敬称を重ねて付けません。例文「○○課長」。また役職名の前に氏名を書かず、役職名だけを使用する際は、名詞としての意味を持つので「様」「殿」などの敬称を付けても問題ありません。例文「営業部長殿」

どこかを介した宛名

・Aさん宅を介して B氏に宛てる場合「A様方 B様」
「~様方(さまかた)」は、手紙やハガキを個人に送る際、送付先住所の世帯主と受取人の苗字が異なる場合に用いられる敬称です。主に居候や下宿、結婚して苗字が変わった妻が実家へ帰省していた際など、一時的に苗字が異なる別世帯の住所に身を置いている場合に使われます。例文「田中様方 加藤美奈様」これは田中太郎さん宅を介して加藤美奈さんに届けたい場合です。

・A社を介してB氏に宛てる場合「A社気付 ~B様」
「気付(きづけ)」は、送付先住所の企業や団体に所属していない相手に、その企業や団体を経由して手紙や荷物を届ける際に用います。「住所」→「団体名(社名や部署名等)」→「気付」→「○○様」の順に書きます。

・A社を介してB社のC氏に宛てる場合「A社気付 B社C様」
送り先となる会社名を書き、その後に「気付」を付け、その次に実際の所属社名と名前を書くタイプです。「住所」→「団体名(社名や部署名等)」→「気付」→「団体名(社名や部署名等)」→「○○様」の順に書きます。出張などでホテルに滞在している相手に宛てる場合も、この書き方になります。

・A社を介してB社に宛てる場合「A社気付 ~B社御中」
送り先となる企業や団体に所属しない相手に、その企業や団体を経由して手紙や荷物を届ける際に用います。「住所」→「団体名(社名や部署名等)」→「気付」→「○○社御中」の順に書きます。

まとめ・「様」の使用が増えている

手紙の宛名は顔のようなもので、これが整っていれば、内容にも誠実さが感じられるとされます。マナーに則っていないと送り手の品性が疑われることにもなりかねないようです。宛名には、個人宛ての様々なケースや、ビジネスによって書き方のマナーがいろいろとあることがわかります。個人宛てでは、一般的に「様」を付け、格下や同格の相手、公的文書には「殿」用いるとされています。しかし近年、公的文書でも「様」を用いることが多くなっています。複数の個人には「各位」を用います。組織や団体宛てでは、「御中」が一般的です。組織などに所属する個人には、「様」付けますが、役職名と重ねて書くことはありません。どこかを介する場合は「様方」「気付」を用います。これらを使い分けて賢く宛名を書きたいものです。