目次
普段生活をしていると、ほとんど目にすることがない手紙に用いる「拝」の文字。名前の後に「拝」が付いていることがあります。これは一体なんなのか、知らないと気になるものではないでしょうか。「拝」の字は「ご尊顔を拝す」のように「謹んで見る」という意味があります。これは本来、尊崇な神仏や神社仏閣、仏像、経典、高貴な人などに対して使われる言葉と言えます。これが現在でも、謙譲語としてその名残を留めているようです。手紙の差出人となる自分の名前の後に「拝」用いて、相手への敬意を表すことになります。「拝」の他には「生」というのもあります。また相手と自分の立場によって「拝」などの使い方は異なってくるとされます。それでは、この手紙の結びにある「拝」について説明していきます。
「拝」には「謹んで」という意味があり「見る」「聴く」などの言葉に謙譲や丁寧といった敬意の要素を加えることになります。これには「拝見」「拝聴」といった熟語があります。そこから「拝」を名前の後ろにつける場合も、同様な意味を持つことになります。名前+「拝」は、手紙における若干古風でかしこまった表現で、「拝啓」「敬具」とは同時に使いません。「前略」「草々」とした際に、相手に対して敬意を表すために用いられるものです。
「拝」の使い方にはいろいろなバリエーションがあります。
・名前+「拝」の場合
一番基本的なものになります。こちらは、もちろん目上の相手に用いても失礼にはなりません。
例 田中太郎 拝
・名字+「拝」の場合
友人や知人など、何回も手紙などをやり取りしている間柄ならば、名字+「拝」は使えます。友人や知人に対して差出人の部分に名字だけを書く際に、かしこまった内容の場合でも使えます。
例 田中 拝
・下の名前+「拝」の場合
家族向けの手紙などには、下の名前+「拝」が使えます。父母に感謝の手紙を送る場合に使えます。
例 太郎 拝
名前+「拝」を使っている人は、比較的年配の方や上位役職者に多いとされます。20代や30代の人でも、歴史と伝統のある業界では慣習的に使われているようです。その業界は広告業界、新聞業界、出版業界などになります。官公庁などでも名前+「拝」はよく見かけるようです。出版業界などでは、名前+「拝」が手紙などで慣習的に用いられ、今日のメール時代になっても引き継がれているとされます。ビジネスでは、自分がそれらの業界にいなくても、出版業界や官公庁などに手紙やメールを送る際に、名前+「拝」用いれば、親しみを感じられたり知的な印象を与えることになります。名前+「拝」は堅苦しい印象がありますが、女性が用いても特に問題はないとされます。また 「拝」は「御机下(ごきか)」と対の表現として用いられることもあります。「〇〇□□先生 御机下(ごきか)」と書き、差出人に「△△×× 拝」と表現することがあるようです。主に病院の紹介状で相手先の医師に対し手紙を送る場合になります。
本来、尊崇な神仏や神社仏閣、仏像、高貴な人などに対して使われる「拝」の字を、手紙の名前の後ろに書き添えることがあります。自分の名前の後に「拝」用いる場合、相手への敬意を表すことになります。この「拝」の意味や使い方には、いろいろなものがあることがわかります。「拝啓」「敬具」とは同時に使わず、「前略」「草々」とした際に、敬意を表すために用いられます。名前+「拝」の場合が一般的で、名字+「拝」の場合は、何回も手紙のをやり取りをしている人宛てで、下の名前+「拝」の場合は、父母宛てになります。「拝」の使用者は年配者や上位役職者に多く、歴史と伝統のある業界では現在でも慣習として用いられています。これらの「拝」の使い方を理解して、手紙の書き方でも高い評価を得たいものです。